高級寿司店の楽しみ方(かなり私的)

STK(サトコ)

STK(サトコ)

2003年よりシンガポール移住。現地マスコミでジャーナリスト、デザイナ、写真撮影など。日本食グルメ堪能に目無し、最近の美食探訪記事: http://www.soshiok.com/article/22159

http://facebook.com/satoko525

sushi

ここのところ当地高級日本寿司巡りが胃のツボにハマってます。

シンガポール日本食レストラン数がニューヨークのそれを抜いたと言われて数年になりますが、和食レストランの進出はそれこそ飛ぶ鳥を落とす勢いで、ハイエンド・ジャパニーズ・グルメファンにとっては新規開拓の余地が広がり垂涎(すいぜん)の笑み。

・・・というわけで、私の独断と偏見にまみれたこの地での高級寿司の酔狂的楽しみ方をかいつまんでご紹介してしまいます。

その1)本物日本高級寿司店かどうかを見極めるには?・・・「サーモンはあるかっ」と聞くべし。

統計的にも、周りの現地同僚に伺ってみても、どういう訳か、「刺身」ときたらそれは100%サーモン(鮭)のことと信じている(特に)若者が多いのは否めない感がします。

サーモンを厚く信仰してやまない彼らを横目に、「鮭が刺身代表だなんて邪道でしょ」なんてポリシーを抱いている私。そんな信念をぐいと後押ししてくれるかのように、「サーモン無しでお願いします」と女将さんに伝えて「当店は高級寿司店ですので鮭は扱っていません」と言われるお店では感極まって思わずひざをポンと打ちたくなります、ここぞ即ち本物寿司店!

サーモンを扱うお寿司屋さんは、すなわちそこはローカルの若者をターゲットにしてシンガポール人のハートを掴んでしまおうと歩み寄り始めているお寿司屋さん。「てやんでい、こちとら江戸っ子でい」な本格江戸前お寿司屋さんにはサーモンのサの字も見当たらないはずっす!

・・・なんてタカをくくっていたら、つい先日、昨年進出してきた泣く子も黙る高級和食店で「それは完全にそうだとは言えません。うちでは鮭司(けいじ)を扱ってます。北海道あたりで漁れる10万本に1匹のサーモンです」と大将からピシャリとお咎めを受けました。

ですので上記私の「サーモンの有無が本物を見分ける鍵」発言ですが、どうか戯言と受け流していただいてもよろしいのかも。

その2)「私日本人ぢゃないあるよ」なフリをしてカウンタに居座り耳をダンボにすべし。

きっと、というか、間違いなく私オバサン化してるわっと確信する瞬間だけど、楽しくってやめられないカウンターでの盗み聞き、ヤダ人聞きの悪い、お客さんたちのカウンタ越しの大将との会話は、集中してなくても聴いてなくても耳からツルリと入ってきます。

そしてこのやり取り、どこまでホントだかそれは聞く側の裁量ですが、知らない世界を垣間見るような刺激香がプンプンしていて、ごめん、私カウンタでの寿司食いやめられません~。

例えば

「いやもう最近リッチな日本人が、ダダ漏れの反対ってどう言うんですっけね、やってくるやってくる、とにかく我も我もとシンガポールに財産を移してきてるんですよ。税金大変ですからね、日本に資産残しておくと。有名作家がどこかにそんなエッセイを書いたとかで、それの影響かシンガポールの銀行に移す日本人が本当に多いんだよ」

とか

「日本人投資家からの料理人ヘッドハンティングが最近富に多いんです。シンガポールに高級和食店をつくりたいからそこのメインシェフをやらないかって。高級店はかなり儲かると思われているようでして、ははは」

とか

「高級スポーツカー倶楽部?ああ、⚪⚪さんも入ってるみたいだよ、でもねえシンガポールで真っ直ぐに飛ばすところといったらあまりないでしょ、市街地で乗り回すのは大変だよ」

小作人レベルの我とはどこをどう間違っても縁があるように思えないハイソな人種のハイライフをふと覗き見してしまったようなちょっと罪でバラ色感覚にホロ酔いながら寿司を頬張り冷酒手酌で寂しくカウンタ越しに大将と乾杯するのもまた良しか、と。

3)ひょっとしたらひょっとして、高級和食店は高貴なお方との出会いのチャンスなのよ、ふ・ふ・ふ♡

「インドネシアからはほとんど超リッチな中国人のお客さんばかりですね」

と大将が言うように、リッチだけでなくて、有名度が高かったり、輝くほどの肩書きをぶらさげていらっしゃる方々がふらりと夜ご飯にいらっしゃったりします。

ある夜、たまたまカウンタで夜更けまで居座ってしまった時の実話。

隣の紳士がすくっと立ち上がり「よろしかったらこのあと一緒にいかがですか、おうちまでお送りしますからご心配なく」と映画かドラマのごときアプローチ。

彼は大将との話からすると世界中を駆け回って飛行機だかなんだかどでかいものを売りさばいている超有名商社の営業マンとのことだった。

うむむ、イイ男だが差し出された手を握る勇気がない。動揺を隠し隠し「エヘヘーこの後予定があるんですぅ、ねっ大将?」と意気地なく可愛い子ぶる私、そうやって断り続けているからいつまでたっても私にはミスター・ライト登場の気配がないのねトホホ。

そんな私を尻目に、同い年の友人はちゃっかり同じ高級寿司店で大富豪を捕まえて、彼のハートを鷲掴みに、いやがっちり四の字固めにし、超高級マンションを買ってもらい、それまで続けていた仕事を辞めて、学費を出してもらって留学してしまった。

同じ土俵にいたはずなのに、いまや立つステージには格段の差が。ははは、現実は笑うしかないや。

現地の娘たち、日本からくる若い女の子の中には、そんな輝く稀有な出会いのチャンスを是が非でも我が物にすべく高級日本食レストランで働く子も少なくない模様ざんす・・・

って年増女の妬みかっ?

 

というわけで、夜な夜な綴った、独断と偏見に満ち満ちたシンガポールにおける高級寿司店講?体験談?でした、いやあどうもご無礼、お粗末様、ご馳走様でございました、今宵も満腹。

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