金津のオトコ
金津のオトコ 半年振りかに古巣の岐阜駅前で旧友と飲んだ。
一人千鳥足で宿への帰り大通り一軒だけ灯りがついたラーメン屋を窓越しに覗くと酒場メニューがずらり。
へ~と思いつつ後にしようと振り返ると、大通りに止めた車からシャツのはだけた小柄の男が歩いて近寄って来ると、この店なんでもあるよ、気にせず入りーと。俳優で言うなら寺島進にそっくりな男に強くなくこの店を勧め続けられ、本当は宿に戻って眠りにつきたかったがこんな流れも良いだろうとついて中に入った。 男は金津のポン引きだった。
金津とはそう、金津園。 風呂屋の客引きだ。 高校時代、金津園の中にあるボーリング場によく行っていた。 心地良かったのはこちらの事をほとんど聞いてこない、客引きの日々の話をしている。女の子は一人八万一日四試合だとか。男が言いたいのは、だからこそ女の子とお客さんに敬意を払っているということだった。彼女たちの努力とお客さんの覚悟に応えるにもあらゆるデータを台帳につけている。来店日時、顔の特徴、癖、人生、好み、生活サイクルなど。 頭に入り切らないから、台帳にひとつづつ書くんだよ、書くとお客さんをまた知れるんだよね。
女の子やお客さんの事を考えたらナメた仕事は出来ないね。
面倒くさい?面倒くさいなんて言葉があったらこの街では生きていけないよ。
やり続けるか止めて終えるかしかないね。
だろ、仕事って。
懐かしい、この不夜城の様な街の空気を思い出した。
やるしかないこの街。
ハングリー精神の塊の街。
ここで養われ、今平和な東濃に辿り着き心地よい。
どちらも大切。LOVE東濃LOVE岐阜。
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