13回目の夏

TB(ティービー)

TB(ティービー)

アイ−ゴナ【i-57】発起人でサイト制作を担当
バイクとIT大好きデザイナー。
趣味は旅とオートバイとMac。休日は愛車ハーレーダビッドソンで日本全国を走り回っています。
名古屋モード学園卒業後、アパレル会社の企業デザイナーを経てフリーランスとして独立。その後ITの世界へ転身。
現在の仕事はウェブサイトのデザイン、企画、制作及びディレクション、運用コンサルティングなど行っています。
株式会社パイグラフィックス 代表 ▶facebookはこちら

http://www.pi-gra.com/

ルナが死んで13年になる。

もう15年くらい前になるかな、当時妻が務めていた会社の同僚の家の近くにずっとつなぎっぱなしの犬がいて、家主も引っ越したか夜逃げしたかでずっと留守で、近所の小学生から給食の残りのパンをもらって生きている、という話しを聞かされた。

どうしても気になった僕らはある夜、自宅から50km以上離れているその犬がつなぎっ放しにされている団地まで見に行った。
団地を車でゆっくり回り、何人かの住人に怪訝そうな顔をされながらやっとその犬を見つけた。
犬は、誰もいない家の庭につながれ、学校帰りの小学生にもらったであろう、数切れのパンと水を与えられていた。
僕らが近づくと怯え、吠えた。
夜だし、近所の家の人が窓から覗いているのがわかったので、僕達はどうすることもできなく、しぶしぶ戻ることにした。

もし、あの時、あの子が吠えなかったら連れて帰っていただろうか?
連れて帰らなかった事であの子が保健所で処分されてしまったとしたら・・・。
だとしたら、あの時、連れてかえっていたらあの子は死なずに済んだだろうか?

その日の夜はそんな悪い妄想と自責の念が消えなかった。

だが、それ以上考えて辛くなるのはいやだから、きっとその内飼い主が戻ってくるだろう、あるいは誰か引き取り手が現れるだろう、と僕も妻もお互い良い方向に考えるようにして、あの日以来あの子の事は思い出さないようにしていた。

それから数ヶ月後、その日は妻が会社を辞める日。
夕方、彼女から電話がかかってきた。かなり興奮している様子

「ねぇ、今から保健所行ってあの子引き取ってくるから!」

「お、おう、え、えっ?なんで」

「とりあえず帰ったら説明する」ガチャッ。

それから数時間後、あの子を車に乗せ彼女が帰ってきた。

妻が会社を辞める日、同僚にあの子があれからどうなったか聞いたらしい。
同僚の話では、誰が鎖を外したのかわからないが、ここ数週間団地の中を彷徨っていたところ保健所の人に捕まり、連れられて行ったという。
その話を聞かされた彼女はいてもたってもいられなくなり、すぐに保健所に電話し、引き取りに行く連絡を入れたというのだ。

そして、あの子は我が家の「ルナ」になった。

それから2年、ルナはウチで家族として生きた。
年齢不明、雑種のメス犬、来たときはガリガリに痩せてた体もしっかりお肉がつき、怯えたような目も自信に満ち溢れた目に変わり、元気になった。
桜吹雪の中、真夏の海水浴場、色づく山の中、雪の河原、ルナと歩き、過ごした2年は本当に楽しかった。

だけど、13年前の今日、なんの前触れもなく急に逝ってしまった。

朝から元気がなく、暑さのせいかなぁ〜、なんて思ってたんだけど、急に息が荒くなり、容態が急変。
すぐに病院に連れて行くも、先生はかなり難しい顔。

このまま安楽死させるか1%の可能性に賭けて手術をするか

僕らは後者を選んだ。

結果は・・・。 二人して涙が枯れるくらい泣いた。

原因は肝硬変

以前の家でまともな食事を与えられていなかったのが原因なのか野良犬時代の食生活なのか、持病なのかわからないが、とにかくルナは逝ってしまった。

今でもあの時の選択は合っていたのかどうかわからない。

だけど、ルナと一緒に過ごした2年はたった2年だけど、僕達にとってかけがえのない一生消えることのない時間になった。
ルナもそう思ってくれてるだろうか。
最後まで僕にはあまりなつかなかったけど、、(苦笑)

あの日も今日みたいに暑い日だった。
さて、ルナの好きだったキャベツを持ってお寺行ってきます。

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